聴覚障害
どのような方法でコミュニケーションをとればよいか、確認しましょう。コミュニケーション手段としては、口話、筆談、要約筆記、手話、空書、身振り、ファックス、メール通信などがあり、多くの聴覚障害者は話す相手や場面によって複数の手段を組み合わせたり、使い分けたりしています。
口話、筆談などは視覚的にも神経の集中を伴うので、聴覚障害者が疲れていないか気をつけましょう。
聴覚障害は、コミュニケーション障害であるとも言われます。声を使って話したり聞いたりするのが当たり前と思われている環境では、音声でのコミュニケーションを強いられることが少なくありません。周りの雰囲気に合わせて分かったふりをせざるを得ないこともあります。また、大勢の人と交わることは非常な労力を伴います。まず聴覚障害者の話しを聞き、相手がわからないことを聞き返しやすい雰囲気づくりなどを心がけましょう。
(1) 口話で会話するとき
常に顔の見える位置で、注意をうながしてからはっきり、少しゆっくりと話しましょう。会議など複数の人がいる場では、話す前に手を挙げるなどして、名前を名乗り、一人ずつ話します。伝わりにくいときは、手がかりになる言葉を挿入したり、何の話をしているかを伝えて、内容を把握しやすいようにします。
(2) 筆談するとき
要点を短く簡潔に書き、まわりくどい表現やあいまいな表現は避けましょう。また、記号や図を用いて表現を明確にします。視覚的に図式化された表現は、必要な情報が伝わりやすくなります。
(3) 手話通訳者・要約筆記者がいる時
主体は本人なので、聴覚障害者本人に向かって話しましょう。また、複数の人が同時に話したり、極端に早口で話したりすると、通訳することができなくなって、聴覚障害者に十分に伝わらないことがあります。その場にいる全員で通訳しやすい環境づくりに配慮しましょう。
(4) 手話をするとき
手話は、特に先天性の重度聴覚障害者にとって重要なコミュニケーション手段ですが、すべての聴覚障害者が手話を用いるわけではないことに注意しましょう。
手話にもさまざまな表現方法があり、障害の時期や手話を獲得した時期、地域などによって異なります。
(5) 放送やアナウンスがあった時
電車やバスの中などのアナウンスは、聴覚障害者には聞き取りにくいものです。事故などの緊急時に状況が分からず困っている人がいたら、肩を優しくたたくなどして声をかけ、メモなどに内容を書いて伝えましょう。